ZENIT-B の実機レビュー

フィルムカメラ

ソビエト製の一眼レフ フィルムカメラ ZENIT-Bを手に入れたので、実機レビューします。

ZENIT-Bを選んだ理由

フィルムカメラにハマってから二年くらいでしょうか。
今まではレンジファインダーカメラをメインに集めていたのですが、M42のレンズ交換に興味を持ち、M42マウントのボディを探していたところ、ZENIT-Bを見つけました。

M42マウントのボディを探すにあたり、私は原始的な構造の機械が好きですので(スキルのない私でも整備できるし、機構が理解できるから)、なるべくややこしい機能のないカメラを探しました。
露出計が内蔵されていると配線などが面倒くさいため、露出計もないようなシンプルな機能のカメラを探していたところ、候補としては、Pentax S1~S3あたりも挙がっていました。
ただ、wikiに載っていた以下の文章に惹かれ、私はZENIT-Bを買うことに決めました。

“ゼニットは、極めて重く頑丈であったために「防爆カメラ」という渾名が付き、また極めてシンプルな機構であったために「何もないから壊れようがない」と評価された。”

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88_(%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%A9)

「防爆カメラ」のインパクトも相当ですが、「何もないから壊れようがない」とは、なんと潔くロマンのあるキャッチフレーズではないでしょうか笑。
歴史から見ても、ZENITの一眼レフは、(数年で新モデルが販売されるカメラ業界において)ほぼ機構を変えずに二十年近くも販売していたそうで、販売数としては世界的にヒットした量産機のようです。
*ZENIT-EはZENIT-Bに露出計が内蔵されたモデルです。

そしてこのZENIT-Eは、65年から約17年間にわたって製造された。一説には製造台数が300万台にも及ぶというから、とてつもない大衆機である。

https://www.itmedia.co.jp/d-style/articles/0711/02/news084.html

余談ですが、このように同じモデルを売り続けたカメラとしては、私の好きなArgus社のArgus C3が思い出されます。
Argusはアメリカのカメラのため、アメリカ人的発想で(イメージですが)、「使えているのだから、これでいいじゃん」的な思想の元、同じモデルが売れ続けたと予想しているのですが、ZENITはどうだったのでしょうか。
単に社会主義でお金がなくて安いZENITが売れ続けたのか、はたまた政治的な介入で購買意欲を煽るような新型は開発が抑制されていたのだろうか などなど(歴史について全く詳しくないのですが)妄想がはかどります。

クラシックカメラを分解したり実際に使用してみると、当時のエンジニアの思想だったり、歴史的な背景の影響も感じられるのが、面白さの一つですね。

購入個体の状態確認

ヤフオクで購入した個体は、専門店より安く買えますが、不具合があることも多いです。
今回は7000円くらいで、割と状態の良いものを買いましたが、状態を確認してみます。

まず外見は、かなりきれいで、擦れもほとんどなく、革(?)の状態も良いです。
いくつかのクラシックカメラを購入してきた経験上、外見がきれいなものは、中身の状態も良いことが多いです。

動作も確認してみましたが、ほぼ問題ありません。
ただ、シャッターのBがうまく動いておらず、タイマーもちょっと不安定でした。
Bもタイマーもあまり使わないので実用上は問題ありませんが、低速側のシャッターがきちんと出ているかは少し気になります。
一応、私はデジタルオシロスコープとフォトセンサを持っているので、シャッタースピードも測定できます(以下の記事を参考にしました)。

3000円くらいで正確にシャッター速度を測りたい

https://tpcbtw.hatenablog.com/entry/2020/04/17/215613

ただし、以前計測したときにセットアップや調整が手間だったことと、多少シャッタースピードがずれていてもフィルムのラチチュードの広さでカバーできたりするので、今回は計測せずに、とりあえず実写してみることにします。
またの機会に、シャッタースピードの計測方法も記事にしようと思います。

実機レビュー

背面のシリアルナンバーの初めの二桁が製造年らしいので、このカメラは1972年製のものです。

筐体は角ばったデザインをしており、武骨な印象です。
サイズは意外とコンパクトです。ただ持ってみるとかなり重く、プラスチックパーツはほぼ使われていないことがわかります。
持ち手の黒い部分は、材質不明ですが、ざらざらして硬質な手触りです(革ではなさそうに思えるが、樹脂製なのだろうか)。カメラの持ち手は、普通の革張りが多いので、この質感は、ZENIT-Bの特徴の一つですね。

シャッタースピードはB~1/500までです。X接点でストロボとシンクロ撮影できます。
また、セルフシャッターも前面についています(もちろんゼンマイの機械式)。セルフシャッター使用時は、通常のシャッターボタンではなく、全面についたタイマー用のシャッターボタンを押します。

シャッターボタンはフィルム送りレバーの上にあり、押しやすい位置にあると感じました(シャッターボタン上部には滑り止めの切れ込み加工もあります)。

一眼レフとしての最小限の機能を、頑強な筐体に詰め込んだ、という感じの渋いカメラですね。
付属の革ケースも色が黒く、かっこいいです。

以下は、近所を散歩して実写した写真です(撮影時のレンズは CARL ZEISS jena tessar F2.8 50mm)。
感触としては、普通に問題なく使えました。
心配していたシャッタースピードのブレも大丈夫そうです。


個人的に良かった点
・硬くて重くて、頑強な安心感がある。意外とコンパクト。
・フィルム送りレバーが戻るときにラチェット音が鳴る(メカニカル機構好きにおススメ)。
・見た目が渋くてかっこいい。

個人的に気になった点
・ファインダーの解像度が粗く、ピント合わせがキッカリできないときがある(特に暗いとき)。
・ストラップの固定金具がないので、革ケースがないと首から下げられない。

私は革ケースも買ったのですが、革ケースの固定ねじも少し癖があって、引っ張りながらネジを回さないと、ネジが空転してしまうようでした(そういうものなのか、壊れているのか)
いずれにせよ、原始的なカメラ好きの自分としては、大満足でした。

おまけ
下画像は、外付け露出計をつけた状態。TTArtisan 露出計 II を使っています。
オーソドックスなシルバーもいいですが、黒の露出計もこのカメラには合いますね。
TTArtisanの 露出計は、見た目はアナログですが、中身は最新で新品で買えます。
アナログな見た目を崩したくないが、古い露出計は精度が心配という方におすすめです。

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TTArtisan 露出計 II ライトメーター ブラック
*IとIIがありますが、Iは旧モデルでシャッタースピードの選択数が少なく、側面の滑り止めがないのが違いです。あとなぜか電池種類も変わっています。

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